義肢装具士

半民間である

事故によって手足を失ってしまったり、病気によって切断を余儀なくされたり、あるいは生まれた時から四肢のいずれかが欠損している、ということは十分に考えられることです。
現代社会において、残念ながらそのような障害を持っている人がかそのままで十分な生活を送ることが出来るだけの環境作りは進んでいません。
そのため、それぞれの人の方が対応を行うことが必要となります。
そんな方法の一つであるのが「義手」や「義足」でしょう。

今回紹介する資格「義肢装具士」はそんな義手や義足に関係している資格となります。
義肢装具士の資格は国家資格であり、「義肢装具士法」によって定められています。
ただし、資格試験に関する業務については公益財団法人によって代行されている、半民間資格であると考えて頂ければ良いでしょう。
毎年2月から3月にかけて1度だけ開催されます。

資格に関する作業を公益法人が行っているということもあり、試験地は全国にはありません。
東京でのみ受験をすることができるため、地方の志望者は注意が必要です。
それでは、どのような内容について問われることになるのでしょうか。

試験科目は比較的広く取られています。
まず「臨床医学」について幅広い知識が問われます。
これには臨床神経学や整形外科学、リハビリテーション医学などが含まれています。
さらに、理学療法や作業療法などの、運動リハビリテーションに関わる療法についても理解していなければなりません。

次に「義肢装具工学」についての知識が問われます。
設計の際に必要となる製図に関する知識や、機構に関する知識、制御方法に関する知識などが主に問われることになります。
システム工学を考えた設計なども必要であり、専門性の高い内容です。
これ以外にも「義肢装具材科学」や「義肢装具生体力学」「義肢装具採型採寸」などが知識として求められます。

こちらの資格も「大学に入学することができる」資格を持っている人が受験資格を有することになっています。
専門的な学校の卒業などは必要ありません。

義肢装具士の仕事

それでは、実際の義肢装具士がどのような仕事をするのかについて紹介します。
そもそも実際に義肢装具士という人に会ったことがなくどこで仕事をしているのかすらわからない人も多いでしょう。
義肢装具士は病院のほか、リハビリセンターや福祉関連相談所などに勤務しています。
全体的に大きな場所ではなく、中小が多いのが特徴です。

義肢装具士には義手義足の作成に利用する材料に関する知識や、設計に関する知識などが総合的に必要です。
さらに、それらを装着する相手とのコミュニケーションによって要望を把握する能力なども必要であり、専門職でありながら人と接することが多い仕事でもあります。