歯科技工士

歯科診療における技術工具を作成するための資格

歯科診療の現場において中心となるのは「歯科医師」「歯科衛生士」「歯科技工士」の三者です。
内科や外科など一般的な医療施設と歯科診療が大きく異なるのがこの「歯科技工士」の存在で、治療に必要となる技術的な工具を製造作成するという業務を担います。

これは歯科の治療においては、入れ歯や差し歯、歯の矯正器具、マウスピースといったような特殊な器具が必要になるためで、歯科医師の指導のもとそれぞれの人に適した器具を作っていきます。

人の歯というのは身元確認や本人特定のために使用されることもあるほど、人それぞれ異なる特徴を持っています。
そのため車椅子や松葉杖のように大量生産された器具をそのまま使用することはできず、必ず都度型とりをしてそのサイズに合わせて作っていかなければいけません。

製作のためには専門の知識と技術をもった人材が必要となることから、国家資格として排他的独占業務を行うことができる「歯科技工士」という資格を設置しています。

歯科技工士は厚生労働省管轄の国家資格免許で、事前に専門課程を修了したのち年に1回の国家試験を受験することで登録をすることができます。

歯科技工士の養成課程としては、文部科学大臣の指定する歯科技工士学校もしくは厚生労働大臣指定の歯科技工士養成所を卒業することで受験要件を満たします。

卒業見込み年度の毎年2月上旬および2月中旬に試験が行われていますので、それぞれ「学説」と「実地」の二段階で試験を受けます。

国家試験ではあるものの、試験は全国統一ではなく都道府県によって日程が若干異なります。
そのため試験を受けるときには最寄りの試験会場を調べるとともに、試験対策ができる学校を選ぶようにしましょう。

歯科医師以上に製作技術に優れる歯科技工士

医療関連資格は基本的に上位資格になるほど行うことができる業務が広がっていくという特徴があります。
歯科分野においても、歯科医師免許を取得することにより歯科診療に関する全ての業務を行うことができるようになります。

しかし歯科医師免許を取得する課程においては、歯科技工に関する授業や実習の事業は少ないため、実際の現場において自分で製作をする歯科医師はまれです。

むしろ製作技術を専門に修得する歯科技工士の方が技能的に高いことが多く、ほとんど全ての歯科医院の中には専門の歯科技工士が勤務しています。

歯科技工士は直接患者さんに接触することはなく、歯科医師や歯科衛生士から届けられるカルテをもとに必要な器具を製作していきます。

専門職であることから給与面にも恵まれており、より高度な治療装置を製作できるようになることでさらにキャリアアップをしていけます。