臨床研修医制度

新米医師が通る道

臨床研修医制度というのは6年間の学生生活を終えて、医師の国家試験に合格した新米医師が必ず通らなければならない道となっています。
6年間は学生でいるわけですので、この学生の期間中に手術などといった医療行為を行うことはできません。
これは法律で禁止されていますので、あくまでも学生の期間というのは知識を身につけ更には今後、医師として働いていくためのコミュニケーション能力やその他の技術などを身につけていくことになります。

国家試験に合格して初めて2年間の前期研修期間を経て、その後は後期の研修期間を過ごすことになっています。
最低でも2年間の臨床研修期間を経なければ一人前の医師として働いていくこともできません。
このように最低2年間の研修期間が設けられていることを、臨床研修医制度といいます。

しかしこの制度が発足したことによって現在のような深刻な医師不足が進行したとも言われています。
なぜならば学校を卒業して国家試験に合格した新米医師がどこで研修をするのかということが、自ら選べるようになったからです。
以前は学校付属の大学病院で医局が人事権を握っていたため国家試験に合格した新米医師がどこに研修に出向くのかということを大学病院側が決めていました。

しかし前述の通り、現在では新米医師が自ら研修先を決めることができるため特に地方の学校を卒業した新米医師は都心部の大きな病院などに研修医として出て行ってしまうわけです。
そのため地方では研修医をはじめとして、その後Uターン転職をする医師不足にも見舞われている状況が続いています。

活用することによるメリット

こちらの臨床研修医制度を活用することによって、新米医師には様々なメリットがあります。
前述のとおり最低でも2年間は一つの病院で研修を行わなくてはなりません。
その後はそのまま就職を決めるといった方法や研修期間中は最低でも3箇所の科目を回ることになるため、その中で自分に合っている科目を見つけやすいという部分もメリットになっています。

しかし研修医にとってはこのようなメリットがありますが、医療機関側にとって若手の医師を確保するための手段がなくなりました。
人材育成に力を入れている病院であればあるほど新人の医師を確保しやすくなったという側面も持ち合わせています。

この研修で就職先も決まる?

腕も話した通りこの研修に出ることによって、その後の就職先を決めるという医師が大半です。
ストレートに研修先にそのまま就職するというだけでなく、系列の病院への就職をプッシュしてもらうといった方法や特別人の少ない医療機関を紹介してもらい就職を決めるなどといった方法があるようです。

新米医師にとってこの制度はとても大きなメリットばかりが目立ちますが、やはり医療機関にとってみれば人事権を持つことが出来なくなってしまったため、医師不足が改善されないままになってしまうこともあります。
短期間で解消できる問題ではなく、どのような部分に合点をつけるのかが非常に難しい問題ではありますが、あくまでも国家試験に合格し、これから独り立ちしていく医師にとってはメリットしかない制度だといえるでしょう。